【離婚】離婚調停とはどのように進行するのか2016年04月04日 08:20

 前回は、離婚をお考えの際、知っておいて欲しい離婚手続一般についてをテーマにお話をさせていただきました。

 今回は、裁判離婚の約80%を占める“調停離婚とはどのように進行するか”についてお話したいと思います。
 
 民事裁判や刑事裁判の風景は、テレビドラマや映画などでもたびたび見かけることがあるかもしれませんが、離婚調停はなかなか見かけることはないのではないでしょうか。
 
 通常の民事裁判や刑事裁判は、原則、公開とされていますが、離婚を含む家事事件については、家事事件手続法33条が、「家事事件の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。」と規定しているため、原則、非公開となっています。
 そのため、離婚を含む家事事件については、実際に経験された方でない限り、知ることはできないので、一般には、あまり知られていないのではないかと思います。

 では、具体的にどのように手続が進んでいくのでしょう。
 札幌家庭裁判所では、大旨、以下のように進められていると思います。

 1.当事者夫婦の出頭

夫婦は、時間をずらされて裁判所に呼び出され、離婚調停を申し立てた申立人は、申立人待合室、申し立てられた相手方は、相手方待合室にて待機することになります。

ここで、時間をずらされる理由ですが、当事者夫婦が同席に同意した場合は格別、離婚調停は、同じ調停委員及び裁判官が、夫、妻、それぞれ別席で、交互に話を聞くために、時間をずらして指定する必要があるからです。

2.調停委員を介しての話し合い

第1回目の調停では、どういった事情から本申立てをしたのか、申立ての内容を確認するため、調停委員は、まず申立人から、大体30分程度話を聞きます。
そして、申立人から事情を聞いた後、今度は相手方を部屋に呼び、相手方から同じように30分程度話を聞きます。

このように離婚調停の期日では、夫婦双方が顔を合わせることは基本的にありませんので、相手方に何か確認したいことや言いたいことがあっても、すべて調停委員を介し(調停委員の口を通じ)、伝えられることになります。

また、1回の調停の時間枠は、大体2時間弱程度が多く、夫婦交互に話を聞くことから、調停期日の半分は、待ち時間となることが多いです。

3.書面の提出

調停は、話し合いなので、原則、言いたいことを書面で出したりすることの必要は無いのですが、必要に応じて、書面を提出することも必要となります。例えば、口頭で説明するのでは分かりにくい事情などは、陳述書や報告書などを作成し、調停委員に提出を求められることもあります。
ただし、ここで注意が必要なのが、裁判所に提出された書面は、相手方も閲覧(見る)・謄写(コピー)する可能性がありますので、内容によっては、家庭裁判所に、非開示希望の申し出をすることを忘れないでください(※、ただし、非開示希望をしても、家庭裁判所が、相手方に対し閲覧・謄写を許可する場合はあります)。

また、養育費や、年金分割、財産分与など財産に関することについては、資料を出さなければ、話が進まないので、積極的に出していく必要があります。なお、この場合も、相手方に知られたくない情報が記載されているのであれば、マスキングなどしてから出すことが必要です。

 4.調査官の同席

お子さんの親権などが争われるときには、調停委員、調停官のほか、家庭裁判所調査官(家庭裁判所で取り扱っている家事事件、少年事件などについて調査を行う専門家)も同席する場合があります。

 5.調停の成立・不成立

   (1) 調停の成立
 
調停期日では、このように調停委員を介して相手方と離婚や付随的なことについて話し合いを進め、夫婦双方に合意ができた場合、調停条項が作成され、調停調書に記載されれば、離婚調停は成立します(※家事事件手続法268条1項 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する)。
 
したがって、離婚調停では、調停において合意が成立し、その内容が調書に記載されたときに離婚が成立することになります。ただし、戸籍上は、届出をしなければ離婚したことが反映されないため、調停成立の10日以内に調停調書の謄本を、区役所などに届出しなければなりません(戸籍法77条1項、63条1項)。

   (2) 調停の不成立

これに対し、夫婦双方の考えに差があり、合意に至らなかった場合には、調停は不成立(不調)となります。調停の期日には回数制限はありませんが、夫婦双方の考えの差が大きい場合などには、第1回の調停期日で調停不成立(不調)となることもあります。

そして、調停が不成立となった場合、離婚の決着はつかないままとなりますので、離婚を求める夫婦の一方、または双方は離婚訴訟を提起すこととなります。

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://murakamilaw.asablo.jp/blog/2016/04/04/8064916/tb