【お知らせ】インターネットリテラシー教育について2022年09月09日 14:14

 昨今、スマホの普及により、SNSトラブル始めインターネットに関するトラブルが非常に多くなっています。

 とりわけ、中学生や高校生を中心にゲームやSNSへの依存が深刻化しており、2019年にはWHO(世界保健機関)がギャンブルなどと同列の依存症として、国際疾病分類にゲーム依存症が追加しました。

 こうした流れを受け、フランスやアメリカ、中国などの政府は規制に動き出しており、日本でも、香川県が全国初の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」を制定し、18歳未満の子どものゲームの利用は平日60分、休日90分まで、スマートフォン等の使用は午後9時または10時までを目安として家庭でルールを作り、保護者に守らせる努力義務を課しました(罰則はありません)。
 
 また、令和2年(2020年)9月には、高松市の高校3年生(当時)と母親が「条例は憲法違反」として、香川県にあわせて160万円の損害賠償を求め高松地方裁判所に裁判を提起しました。
 この裁判は、令和4年(2022年)8月30日に  判決が出され、「医学的知見が確立したとは言えないまでも、過度のネット・ゲームの使用が社会生活上の支障や弊害を引き起こす可能性は否定できず、条例が立法手段として相当でないとは言えない」と指摘した上、条例は原告らに具体的な権利の制約を課すものではないなどとして、憲法に違反するものということはできないと、原告の訴えを退けています。
 
 ゲームやSNS始めネット依存の問題は、年々、若年化しているように見受けられます。また、依存症の問題とともに高額な課金問題も併せて問題になっています。
 
 こうしたスマホ依存を防止するためにも、小学校、中学校といった若年の内からのインターネットリテラシー教育(インターネットを正しく安全に活用する知識・技術を学ぶ)は非常に重要です。
 
 令和4年(2022年)3月より、札幌弁護士会の新たな取り組みとして、札幌弁護士会の弁護士が、学校や企業などに出向き、あるいはWEBを活用してオンラインで、授業・講義を行う「弁護士による出前授業・出前講座」を開始しました。  

弁護士による出前授業・出前講座:札幌弁護士会 (satsuben.or.jp)

 令和4年(2022年)9月時点で14の授業・講座が開設されており、私も、「こんな被害もSNSやネットにひそむ危険」、「性暴力ってなに?」の授業に携わっており、札幌市内の中学校において「こんな被害もSNSやネットにひそむ危険」の出前授業を行うなどしています。

 中学校、高校、大学といった教育機関やPTAに関しては講師料を無料(※交通費は実費が発生します)とするなどしていますので、是非、ご利用いただけたらと思います。

【相続】身近になった自筆の遺言書2021年02月10日 10:48

 令和2年(2020年)7月より、自筆の遺言書(正確には「自筆証書遺言」といいます。)の作成方法、保管場所、家庭裁判所での手続きなどが、より身近なものへと大きく変わりました。
 
 1.自筆の遺言書の作成方法

 従来、自筆で遺言書を作成する場合には、全ての文章(全文)、日付及び氏名を遺言をする方が自署する必要がありました。

 今回、改正された内容では、平成31年(2019年)1月13日以後に作成された自筆の遺言書の「財産目録」については、自筆公正証書と一体のものとして添付されている場合、パソコンなどで作成した「財産目録」でもよいとされました(民法968条2項)。

 もっとも、「この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」とされていますので、印刷した「財産目録」への署名・押印は必要になりますので注意が必要です。
 
 また、このように手書きが原則であって、ワープロを使うことができるのは財産目録だけという点にも注意が必要です。

2.保管場所

 今まで自筆の遺言書については、登録システムのようなものは存在しませんでしたので、遺言をされた方がどこにあるなど言い残していなければ、相続人の方々は家捜しするほかありませんでした。

 こうした不都合を改めるため、平成30年法律第72号による民法改正で、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が新たに創設されました。
 
 この制度は、遺言者が法務局に自筆の遺言書の原本を持参し、手数料を支払って申請すれば、法務局で遺言書の原本とともに、遺言書を画像情報化して保存してくれるというものです。

 また、保管は法務局の遺言書保管官が行うことになっているため、あくまで事実上ではありますが、遺言書の形式についてはある程度、この段階でチェックしてもらえるでしょうから、形式的不備を防ぐことが期待されると思われます。
 
 なお、この制度の詳しい内容につきましては、法務局の案内をご参照ください。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

3.遺言書の検認
 
 自筆での遺言書については、保管者、あるいは発見した人が家庭裁判所に検認に申立をしなければならないとされており、手間暇ともに掛かるのが実情でした。

 民法 第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

 そこで、この点についても改正がなされ、法務局で保管された自筆の遺言書については、家庭裁判所の検認は不要とされました。

 なお、家庭裁判所の検認とは、遺言の有効、無効を判断するものではありません。
 
 あくまで相続人に対し、残された遺言書の状態を確認させるための手続きです。

 しかし、民法上、遺言の保管者、あるいは発見した相続人については、検認をすることが義務づけられており、これを怠った場合には、以下のとおり5万円以下の過料に処されるとされているので注意が必要です。

(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

4.その後~相続が発生したら

 相続が発生した後には、不動産の登記や預貯金の名義書換などのために「遺言書情報証明書」の交付要求を相続人の方が行うことになります(注:義務ではありません)。

 なお、「遺言書情報証明書」の交付要求、あるいは遺言書の閲覧請求を受けた法務局は速やかに遺言書を保管していることを遺言者の他の相続人、受遺者(財産を遺贈するとされた方)、遺言執行者に通知することになっているようです。

新型コロナウィルス法律相談(日弁連)2020年04月24日 09:00

日弁連は,一般市民の方々が抱える,新型コロナウイルス感染拡大に起因する各種の法的なお悩みごとに対応するため,各地の弁護士会と連携して電話法律相談(初回相談無料)を実施します。

「勤務先が休業になったが,給与は出るのか」,「社長に,経営難なので明日から来なくてよい,と言われたが今後の生活のためにどうしたらよいか」,「旅行をキャンセルしたら,キャンセル料を支払う必要があるのか」等,新型コロナウイルス感染拡大に起因する法的なお悩みごとに法律のプロがお答えします(申込みにあたり必要となる通信料(電話通話料・インターネット通信料など)は、相談者のご負担となります。)

【オンライン申込み】

https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/coronasoudan/kojin/

○ 受付時間:24時間

○ 実施期間:2020年4月20日(月)から 5月19日(火)まで
※状況に応じて期間を延長する可能性があります。

○ 相談方法:相談者に最寄りの弁護士会(一部地域を除く)の弁護士または事務局から折り返しお電話をお掛けして,相談者と相談担当弁護士をお繋ぎします。
※なお,折り返し電話をさせていただくまでに相当日数(混雑状況によっては4~
6営業日)を要する可能性があります。

【全国共通電話番号】

0570-073-567

○ 受付時間:平日のみ 正午 ~ 午後2時(混雑のため繋がりにくいことがあります。)
※土日祝日は受付なし

○ 実施期間:2020年4月20日(月)から 5月19日(火)まで
※状況に応じて期間を延長する可能性があります。

○ 相談方法:相談者に最寄りの弁護士会(一部地域を除く)の弁護士または事務局から折り返しお電話をお掛けして,相談者と相談担当弁護士をお繋ぎします。
※なお,折り返し電話をさせていただくまでに相当日数(混雑状況によっては4~6営業日)を要する可能性があります。

新型コロナウィルス感染症に関連する情報2020年04月20日 13:06

新型コロナウィルスに関する支援を分かりやすく,かつ使いやすくまとめた「新型コロナ対策支援カード」というものを,静岡県の永野海弁護士が作成されました。

このカードは,内容の改編や違法な使用でなければ使用,無償配布,HPや紙媒体への掲載など活用は自由とされていますので,永野先生のホームページのURLを貼り付けさせていただきます。

事業者用,個人・家庭用と分けて作成されており,誰が見ても非常に分かりやすい仕上がりです。

是非,ご一読ください。

http://naganokai.com/c-card/

また,事業者の方には,経済産業省が事業者向けに情報をまとめたサイトがありますので,こちらも是非確認されることをお勧めいたします。

https://www.meti.go.jp/covid-19/

【2020年4月 民法改正】賃貸借契約に関する民法の規定の改正~1~2020年02月19日 13:28

【2020年4月 民法改正】賃貸借契約に関する民法の規定の改正~1~

1.賃貸借契約とは

  アパートやマンションを借りられた経験のある方はいらっしゃると思います。
  賃貸借契約とは,一方(賃貸人)がある物をもう一方(賃借人)に使用・収益させ,借りた者(賃借人)が賃料を支払う約束をする契約で,上述のアパートやマンションを借りる際などが身近な契約の例となります。

2.改正された点

  改正された事項は以下のとおりとなり,多岐に亘ります。
  そこで,今回は,この内,身近な問題である①,④についてのみ書かせていただきます。

  ① 賃貸借の意義に関するもの
  ② 短期賃貸借に関するもの
  ③ 賃貸借の存続期間に関するもの
  ④ 賃借物の修繕に関するもの
  ⑤ 賃料の減額に関するもの
  ⑥ 賃借物の滅失などによる契約の解除に関するもの
  ⑦ 転貸借に関するもの
  ⑧ 賃借人の原状回復義務及び収去義務などに関す
    るもの
  ⑨ 賃借人の用法違反による賃貸人の損害賠償請求
    権に係る消滅時効に関するもの
  ⑩ 敷金に関するもの
  ⑪ 不動産の賃貸借に関するもの

3.① 賃貸借に意義に関するもの

新しい民法601条
「賃貸借は,当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し,相手方がこれに対して賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって,その効力を生ずる。」

改正前の民法には,賃貸借契約が終了したときに賃借人が借りた物を返すという点について,実は条文には定めがありませんでした。
そこで,改正後の民法では,賃貸借契約が終了したときに賃借物を返還することを条文で明確化しています。
そのため,改正によって賃貸借契約の内容が実質的に変わるわけではありません。

4.④ 賃借物の修繕に関するもの

  新しい民法606条1項
  「賃貸人は,賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし,賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは,この限りでない。
  新しい民法606条2項
  「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは,賃借人は,これを拒むことができない。」
  
  改正前の民法にも,賃貸人の修繕義務は定められていましたが,賃借人(借りている側)が壊した場合にも修繕しなければならないのか定めはありませんでした。

  しかし,賃借人(借りている側)が壊してしまった場合など,賃借人の責めに帰すべき事由がある場合にまで賃貸人に修繕義務を負わせるのは公平ではありません。
 そこで,新しい民法では,賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となった場合には,賃貸人は修繕義務を負わないとしています。

新しい民法607条の2
「賃借物の修繕の必要である場合において,次に掲げるときは,賃借人は,その修繕をすることができる。
 一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し,又は賃貸人がその旨を知った
にもかかわらず,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
 二 急迫の事情があるとき。」

賃借物(借りている物)の修繕は,修繕によってその物自体に物理的に変更が加わりますので,その持ち主である賃貸人が行うのが相当です。
そのため,改正前民法においては賃貸人の修繕義務は定められていましたが,賃借人(借りている側)が修繕をすることができる場合についての定めはありませんでした。

しかし,修理を依頼しているのになかなか賃貸人が修理をしてくれない場合や急を要する事態(例えば,台風で屋根が壊れたが,次の台風が接近している場合など)にも,賃借人(借りている側)が修理できないのはなんとも不都合です。

そこで,改正後の民法では,賃借人(借りている側)が自分で修繕をすることが出来る場合について定め,改正民法607条の2第1号,あるいは2号に該当する場合には,賃借人(借りている側)が借りている物を修繕したとしても,賃貸人から責任追及されることはないことが明確になりました。