新型コロナウィルス法律相談(日弁連)2020年04月24日 09:00

日弁連は,一般市民の方々が抱える,新型コロナウイルス感染拡大に起因する各種の法的なお悩みごとに対応するため,各地の弁護士会と連携して電話法律相談(初回相談無料)を実施します。

「勤務先が休業になったが,給与は出るのか」,「社長に,経営難なので明日から来なくてよい,と言われたが今後の生活のためにどうしたらよいか」,「旅行をキャンセルしたら,キャンセル料を支払う必要があるのか」等,新型コロナウイルス感染拡大に起因する法的なお悩みごとに法律のプロがお答えします(申込みにあたり必要となる通信料(電話通話料・インターネット通信料など)は、相談者のご負担となります。)

【オンライン申込み】

https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/coronasoudan/kojin/

○ 受付時間:24時間

○ 実施期間:2020年4月20日(月)から 5月19日(火)まで
※状況に応じて期間を延長する可能性があります。

○ 相談方法:相談者に最寄りの弁護士会(一部地域を除く)の弁護士または事務局から折り返しお電話をお掛けして,相談者と相談担当弁護士をお繋ぎします。
※なお,折り返し電話をさせていただくまでに相当日数(混雑状況によっては4~
6営業日)を要する可能性があります。

【全国共通電話番号】

0570-073-567

○ 受付時間:平日のみ 正午 ~ 午後2時(混雑のため繋がりにくいことがあります。)
※土日祝日は受付なし

○ 実施期間:2020年4月20日(月)から 5月19日(火)まで
※状況に応じて期間を延長する可能性があります。

○ 相談方法:相談者に最寄りの弁護士会(一部地域を除く)の弁護士または事務局から折り返しお電話をお掛けして,相談者と相談担当弁護士をお繋ぎします。
※なお,折り返し電話をさせていただくまでに相当日数(混雑状況によっては4~6営業日)を要する可能性があります。

新型コロナウィルス感染症に関連する情報2020年04月20日 13:06

新型コロナウィルスに関する支援を分かりやすく,かつ使いやすくまとめた「新型コロナ対策支援カード」というものを,静岡県の永野海弁護士が作成されました。

このカードは,内容の改編や違法な使用でなければ使用,無償配布,HPや紙媒体への掲載など活用は自由とされていますので,永野先生のホームページのURLを貼り付けさせていただきます。

事業者用,個人・家庭用と分けて作成されており,誰が見ても非常に分かりやすい仕上がりです。

是非,ご一読ください。

http://naganokai.com/c-card/

また,事業者の方には,経済産業省が事業者向けに情報をまとめたサイトがありますので,こちらも是非確認されることをお勧めいたします。

https://www.meti.go.jp/covid-19/

【震災法律相談】地震時の法律問題③~地震によって、ローンの返済に困ったとき~2018年12月11日 09:02

1.自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインとは?

  この度の北海道胆振東部地震によって、住宅ローンなどの返済にお困りの方に、是非、ご紹介したい制度があります。

  この制度は、東日本大震災や熊本地震、そして、この度の北海道胆振東部地震といった、「災害救助法が適用された自然災害」の影響を受けたことによって、住宅ローン、住宅のリフォームローン、事業性ローン、銀行のカードローン、消費者金融やクレジット会社の借入れなどの債務を弁済することができなくなった「個人」の債務者であって、「災害の影響によって」、各種ローンなどの支払いをすることができない、または近い将来において支払うことができないことが確実と見込まれる方を対象に、各種ローンの「免除・減額」を申し出ることができる制度です。

  このガイドラインが使えない場合(あるいは使わない場合)、例えば、地震で家が全壊してしまい、家を修繕しなければ住むことができない、でも、壊れた家の住宅ローンは、残りまだ20年あり、家の修理のための住宅ローンを新たに組むこともできない、加えて、そのほかにも各種ローンがあって、全てを支払うことは到底できないといった被災者の場合、この被災者の方が取りうる方法は、
①自己破産、
②個人再生手続、
③各債権者と交渉して弁済方法について協議する、
といった方法くらいしか無いと思われます。

  そのため、いずれの方法であっても、いわゆるブラックリスト(個人信用情報)に載ってしまいますし、①の場合には、住宅や義援金なども手放した上、手元に残すことのできるお金は破産法上認められた自由財産のみとなります(「自己破産」について、詳しくはこちらをご参照ください。http://www.murakamilaw.jp/kojinhasan.html)。

 また、②の場合には、個人が負っている債務の一部を分割で支払い、最終的に残りを免除してもらう手続きのため、借金の額にもよりますが、財産を手元に残し、借金の2割程度を分割で支払い、残りを免除してもらえる場合もありますが、最低弁済額によっては、義援金含め保有財産を全て吐き出すことになる場合もあります(「個人再生手続」について、詳しくはこちらをご参照ください。http://www.murakamilaw.jp/kojinsaisei.html)。

 そして、③の場合には、各債権者と個別交渉になりますので、基本的に借金の返済時期を遅らせたりすることはできても、減額ということは難しいと思われます。

 
  これに対し、この「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」といいます。)を利用した場合、ブラックリストに載ることはありませんし、義援金などに加え財産の一部(自己破産や個人再生の場合よりも多額となることが多いです)を手元に残すことができます。

  また、この手続きには、弁護士や土地家屋調査士などの登録支援専門家の支援が必要ですが、費用はかかりません(無料となります)。

 そして、自己破産や個人再生と異なり、このガイドラインを使って債務整理をされても、原則、保証人への支払いは要求されませんし、この手続きを利用したい方は、後述でご紹介する通り、ご自身のメインバンク(一番借入額が多い借入先)にガイドラインの利用を申し出ることで手続きが進んでいきますので、方法としても簡単であるというメリットがあります。


2. 具体例

  とはいっても、なかなか具体的なイメージが抱きにくいと思います。
そこで、熊本地震の際に、九州財務局が発行した分かり易い広報紙がありますので、どういったイメージ、ケースが想定されているのかについては、こちらをご参照ください。
http://kyusyu.mof.go.jp/content/000163856.pdf

3. 手続について

  このガイドラインを利用するためには、まずは、借入額が一番多い借入先に、この手続きを利用したいと申し出る必要があります。
 
  また、この借入先からこの手続きを利用することの「同意書」をもらい、お近くの弁護士会に、「同意書」と各弁護士会に備えられている「登録支援専門家移植依頼書」を提出してください。
  なお、この度の北海道胆振東部地震における被災者の方は、札幌弁護士会による、こちらの「札弁被災者支援ニュース第6号」に詳しい情報が書かれていますので、是非、内容をチェックしてみてください。
https://www.satsuben.or.jp/info/shinsai/pdf/news_no06.pdf

【震災法律相談】地震時の法律問題② 〜賃貸人からの明渡請求〜2018年11月27日 11:41

1. 地震時の法律問題

前回に引き続き、地震に伴い多く見られる法律相談事例をご紹介します。


2. 大家さんから立ち退き請求

【相談事例】

地震によって、借りている家の一部が壊れてしまいました。
しかし、修理すれば住み続けることはできます。
ところが、大家さんからは出ていくよう求められています。
出ていなかければならないのでしょうか。

【回答例】

 まず、賃貸借契約は、借りている家(借家)が壊れてしまったからといって、当然に終了するものではありません。
 賃貸借契約が当然に終了する場合とは、賃貸借契約の目的となっている建物が「滅失」して、賃貸借契約の目的を達成することができなくなったときとされています(最高裁昭和42.6.22)。
賃貸借契約の目的物が滅失してしまった以上、もはや貸すことも借りることもできないので、契約を継続する意味がないため、このように考えられています。
 したがって、例えば、地震によって借家が滅失してしまった場合には、大家さんは借りている人(賃借人)に建物を使わせる義務が無くなりますし、賃借人も大家さんに賃料を支払う義務を負いません。
 そのため、今回の相談事例の場合には、賃貸借契約は契約期間中であれば終了していませんので、大家さんからの求めに応じなくても良いといった回答になります。

 また、もし、ちょうど契約更新の時期で、大家さんが契約を更新しないと言ってきた場合であっても、大家さんが更新を拒絶するためには「正当の事由」が必要とされていますので、「正当の事由」が認められない限りは、契約更新を拒絶できません。

 なお、「正当の事由」の有無については、大家さんが賃貸借契約を終了させて、この建物を必要とする理由や今までの賃貸借契約の経緯、建物の老朽度、立退料の支払いの有無などを総合的に考慮して判断されますが、一般的には立退料の支払いとその金額の多寡が重要と言われています。

 また、そのまま住み続ける場合には、大家さんには修繕義務がありますので、大家さんに壊れた部分を修繕するよう求めることも当然できます。


 なお、賃貸借契約が当然に終了してしまう「滅失」とはどういった状態かについては、一般的には、建物の損壊の程度と大家さんの経済的負担の程度を考慮し判断されています。
 具体的には、建物の壊れた部分が、賃貸借の目的となっている主要な部分が消失して、もはや賃貸借契約の目的を達せない状態になってしまったのか、修復費用(修復義務は大家さんとなります)はどのくらい掛かるのか、借家の耐用年数や老朽度、家賃が幾らとされているかといった事情を総合的に考えて判断されています。

 また、建物が「滅失」してしまった場合には、当然に賃貸借契約が終了するため、大家さんに立退料を請求することはできません。

【震災法律相談】地震時の法律問題① 〜水漏れトラブル〜2018年10月25日 17:15

1.地震時の法律問題

今年は,7月に発生した西日本集中豪雨や,台風,そして9月6日に発生した北海道胆振東部地震と天災が相次いでいます。
私が所属する札幌弁護士会も,北海道胆振東部地震発生後,地震発生から時を経ずして,被害の大きかった地域へ弁護士を派遣しており,現在も継続した法律相談を実施しています。
また,私自身も,札幌での地震関連での面談,電話での法律相談のほか,厚真町,むかわ町などにも出向き,法律相談を担当させていただいております。

そこで,こうした法律相談の経験などを踏まえ,地震に伴い多く見られる法律問題について,何回かに分けて書かせていただこうと思います。

2.分譲マンションの水漏れトラブル

【相談事例】

地震によって水道管が破裂し,下の階に水漏れしてしまいました。今回のような大きな地震であっても,下の階の人に生じた損害の賠償をしなければならないのでしょうか?

【回答例】

まず,例えば,水道管が老朽化しており,交換しなければいつ水漏れしてもおかしくない状態であることを分かっていながら放置していたような場合には,故意または過失による不法行為責任(民法709条)により,上の階の住民の方は,下の階の被害者に対し,損害賠償責任を負う可能性が高いといえます。

これに対し,大きな地震によって,予期せず水道管が破裂したような場合には,民法717条第1項の土地工作物責任が認められるかが問題になってきます。

なお,建物内の水道管や排水管が工作物に当たるのか否かについては,実は裁判例は分かれています。そのため,以下は,建物内の水道管や排水管が工作物に当たることを前提とした場合を想定し,回答を進めさせていただきます。

土地の工作物に瑕疵があった場合,その所有者は,たとえその工作物の設置や保存について何らの過失が無かったとしても,設置や保存に瑕疵があったことによって被害を被った被害者に損害賠償をする責任があります(これを「土地工作物責任」といいます)。

したがって,たとえ地震といった天災をきっかけにしても,分譲マンションの専有部分から水漏れが発生した場合には,区分所有者である分譲マンションの所有者が責任を負うのが基本となります。

もっとも,従来,これには例外があるとされており,震度6以上の地震であった場合には,不可抗力に基づくものとして所有者は損害賠償責任を免れると考えられてきました。

ところが,阪神淡路大震災において,震度7の地域に存在した賃貸マンションの一階部分が倒壊し,一階部分の賃借人が死亡した事故では,マンションの設置の瑕疵が認められ賃貸人・所有者の土地工作物責任が肯定されています(神戸地裁平成11年9月20日判決,ただし,自然力の寄与度を5割認め,責任の割合は損害の5割とされています)。

また,首都圏でも最大震度6強,東京23区内においても震度5強が観測された東日本大震災においても,住戸内の電気温水器の配管が断裂・漏水したため,階下の原告(賃借人)所有のコンピュータ等が故障し,業務に支障が来したとして,被告会社(住戸の管理会社)及び被告ら(住戸の区分所有者2名)に対し,損害賠償を求めた裁判では,首都圏で震度6強の地震が発生し得ることは想定されていたとして,土地の工作物の所有者(住戸の区分所有者2名)は過失がなくとも工作物責任を負うとして,所有者に損害賠償を認めた裁判例も出ています(東京地裁平成25年2月12日判決)。

したがって,震度6強の地震が頻発している現状から,震度6以上の地震であっても,不可抗力とはいえず,所有者に土地工作物責任がある場合も大いにあり得るため,問題となっている水道管が,その当時発生することが予想された地震動に耐えうる安全性を有していたか否か,個別具体的に検討する必要があると思われます。

よって,今回の相談に対しては,
『大きな地震によって,予期せず水道管が破裂したような場合であっても,分譲マンションの専有部分から水漏れが発生した場合には,区分所有者である分譲マンションの所有者が責任を負う可能性が高い。ただし,個別具体的に事情によっては,不可抗力により責任を免れる可能性があるし,責任を負うとされても,責任の割合が減少する可能性がある。』
という回答になるのではないかと考えます。