【離婚】離婚をお考えの際、知っておいて欲しい離婚手続一般2016年03月20日 16:39

私が所属する札幌弁護士会には、「ほっとらいん ぶ~け」という
女性のための女性弁護士による無料電話法律相談があります。

私も、月に1回程度は、相談担当をさせていただくのですが、

やはり、一番多い相談内容は、離婚や離婚に付随するご相談です。

そこで、第1回目の法律コラムのテーマは、

“離婚をお考えの際、知っておいて欲しい離婚手続一般”

としました。


離婚手続は、大きく分けて2つの種類に分けられます。

その1.協議離婚

 まずは、裁判所を介せず、夫婦の話し合いで離婚をする『協議離婚』です。

 少し古い調査結果ですが、厚生労働省による、平成21年度「離婚に関する統計」結果では、離婚をする夫婦の87.8%(平成20年)が『協議離婚』となっています。

 もっとも、昭和25年から平成20年までの離婚の種類別構成割合の年次推移を見ますと、協議離婚の割合は、平成15年以降低下しており、平成15年以降は、後述の『裁判離婚』の割合が高まっています。

その2.裁判離婚

(1) 裁判離婚には、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚、判決離婚といった種類があります。

 もっとも、審判離婚及び認諾離婚は、ほとんど見られず、先ほどの厚生労働省の統計においても、審判離婚と認諾離婚は割合が少ないため年次推移に表示されていません。
 そのため、ここでは、裁判離婚の手続として、調停離婚、和解離婚、判決離婚についてご説明します。

(2) 調停離婚 
 夫婦の話し合いでは、離婚の決着を付けられない場合、離婚をしたいと考える夫婦の一方から、家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることになります。

 『調停』では、裁判官である1人と調停委員(民間から選ばれます)2人以上で構成される調停委員会が、夫婦双方に事情を尋ねたり、意見を聴いたりして、双方が納得の上で問題を解決できるように、助言やあっせんをし、夫婦双方で合意に至れば、離婚調停成立となります。つまり、調停離婚も、家庭裁判所を利用するとはいえ、話し合いなので、離婚内容に双方が合意しなければ、やはり離婚の決着は付きません。

 そこで、離婚調停を申し立てたけれど、成立に至らなかった場合には、離婚訴訟へと移行することになります。
 
 なお、ここで注意が必要なのは、離婚内容に夫婦の間で大きな差があり、そもそも離婚調停は成立しそうにないといった場合であっても、家事審判法という法律によって、「まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。」(家事審判法17条、18条1項)とされている点です。 
 そのため、原則として、離婚調停は成立しそうにない場合であっても、いきなり離婚訴訟を起こすことはできません(※ただし、「裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるとき(家事審判法18条2項ただし書)」には、調停を経ずに離婚訴訟を提起することはできます)。

 また、離婚調停を申し立てるべき家庭裁判所は、原則、相手方の住所地となっている点にも注意が必要です(家事事件手続法245条1項)。

 例えば、夫が東京、妻が札幌で、既に別居している夫婦が調停によって離婚する場合、原則、妻は東京家庭裁判所へ、夫は札幌家庭裁判所へ離婚調停を申し立てなければなりません(※ただし、家庭裁判所が「事件を処理するために特に必要があると認めるとき」には、申し立てた人の住所地の家庭裁判所へと移されることもあります(家事事件手続法9条1項)。

(3) 和解離婚・判決離婚
  調停離婚が成立しなかった場合、離婚をするためには、夫婦の一方または双方から離婚訴訟を提起しなければなりません。

  そして、離婚訴訟では、調停とは異なり、裁判官が離婚原因の有無について判断しますし、申し立てがあれば、未成年の子どもがいる場合には離婚後の親権者を決めたり、財産分与や子の養育費などについても判断します。もっとも、裁判手続の中で、裁判官から和解勧告がなされるなどし、和解によって解決する場合もあり、離婚訴訟における決着方法が和解の場合が和解離婚、判決の場合が判決離婚となります。

  なお、先ほどの厚生労働省の統計によれば、『裁判離婚』の約80.1%が調停離婚、約11.6%が和解離婚、約8.3%が判決離婚となっています。



 このように、離婚の手続には、『協議離婚』と『裁判離婚』という種類があります。
 
  そして、『協議離婚』においては、夫婦での話し合いで決着を付けることになるのですが、決着を付ける前には、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。

  なぜなら、既に作成された離婚協議書を持参され、中身を見て欲しいと相談にお越し頂くことがあるのですが、持参された離婚協議書の内容には、某かの問題があるケースが散見されるからです。

 ですから、たとえ、裁判所を介さない『協議離婚』を選択される場合であっても、私たち弁護士がサポートさせていただくことはできますので、離婚をお考えの際には、当事務所(村上英治法律事務所)のように、無料法律相談を実施している法律事務所などに、決着を付ける前に、一度、ご相談に行かれることを強くお勧めします。

 また、調停離婚などの『裁判離婚』をご検討される際にも、勿論、ご自身で調停を申し立てることもできますが、ご自身が望む条件での離婚をするためにも、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。

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