【犯罪被害者支援】DV被害相談について① ~DV,DV防止法とは~2019年11月25日 14:37

1.法テラスによるDV等被害者法律相談援助業務の開設

 【犯罪被害者支援】ストーカー被害についてでもご紹介しましたが,法テラスの新しい法律相談援助業務として,DV,ストーカー,児童虐待(以下,「DV等」といいます。)の被害を現に受けている疑いのある方への法律相談業務が,平成29年に開始されています。
 条件を満たす方は,資力に関係無く,法テラスを利用した無料相談を使えます。
 詳しくは,こちらの過去記事
http://murakamilaw.asablo.jp/blog/2019/06/21/9090107
 あるいは
法テラス日本司法支援センターの以下のURLをご参照ください。
 https://www.houterasu.or.jp/higaishashien/seido/higaishasoudan.html

2.DV(ドメスティック・バイオレンス)とは?

 DVについて,法律上の明確な定義はありませんが,一般には「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されています。
また,「暴力」=殴る,蹴るといった身体的暴力のみではありません。
心理的暴力(馬鹿にされる,罵られる,無視される,日常生活・交友関係を監視されるな
ど),性的暴力も含まれます。
 もっとも,後述のDV防止法における「暴力」は,身体に対する暴力,生命等に対する脅迫が対象となっていますので,注意が必要です。

3.DV防止法とは?

配偶者からの暴力を防止し,被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は「DV防止法」と呼ばれています。
この法律で保護される,暴行,被害者,配偶者とは,以下のように定義づけられています。

また,DV防止法の適用がある場合,裁判所に対し「保護命令」の申立をすることができます。「保護命令」の具体的内容は,接近禁止命令(被害者本人のほか,子,親族,支援者なども要件をみたせば),退去命令(共に生活している住居から2ヶ月退去させる),電話等(メール含む)禁止命令などとなっていますが,「保護命令」を申し立てるためには,警察か配偶者暴力相談支援センターへの相談,あるいは公証人面前宣誓供述書の作成が必要となります。

なお,接近禁止命令,電話等禁止命令の期間は「6ヶ月」,退去命令の期間は「2ヶ月」に限られます。再度,申立てをして期間を延長させるということも可能ではありますが,なかなか認められにくいのが現状です(特に退去命令は加害者の居住の自由や財産権への制限が伴いますので,再度の命令は例外的です)。


(定義)
第一条 この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項及び第二十八条の二において「身体に対する暴力等」と総称する。)をいい、配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。
2この法律において「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者をいう。
3この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする。